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東京高等裁判所 昭和63年(ネ)1700号 判決 1989年5月30日

控訴人(原告) 齋藤菊男

被控訴人(被告) 三葉興業株式会社

主文

本件控訴を棄却する。

控訴人の当審で拡張した請求を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  控訴人が被控訴人に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

3  被控訴人は控訴人に対し、原判決認容額のほか、金二六一万三八八九円及びこれに対する昭和五九年六月八日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

4  被控訴人は控訴人に対し、金八四〇万円及びこれに対する昭和六三年七月八日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え(この遅延損害金の請求は、当審で拡張した請求である。)。

5  被控訴人は控訴人に対し、昭和六三年六月以降毎月二五日限り金一七万五〇〇〇円を支払え。

6  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

7  仮執行宣言(第3ないし5項につき)

二  被控訴人

主文第一項及び第三項と同旨

第二当事者の主張

当事者双方の主張は、原判決三枚目裏三行目の「昭和五九年六月以降」から同四行目までを「昭和五九年五月二一日から昭和六三年五月二〇日まで四八か月分の賃金八四〇万円及びこれに対する控訴状送達の日の翌日である昭和六三年七月八日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金並びに同年六月以降毎月二五日限り一か月一七万五〇〇〇円の支払を求める。」に、同五枚目表二行目の「異り」を「異なり」に、同六枚目裏四行目の「正社員は」を「正社員には」に、同七行目の「殆んど」を「ほとんど」に、同一〇枚目表一一行目、同裏一行目の「定年問題」を「定年延長問題」に、同裏四行目の「自働化」を「自動化」に改めるほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

第三証拠<省略>

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求(当審で拡張した請求を含む。)は、原判決認容の限度で正当として認容し、その余は失当として棄却すべきものと判断する。その理由については、次のように付加、補正するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

原判決一四枚目裏五行目の「各証言」の次に「、原審における控訴人本人尋問の結果」を加え、同行の「証言中」を「証言及び原審における控訴人本人尋問の結果中、」に、同一七枚目表三行目の「一旦自宅に持ち帰り」を「受け取り、」に改め、同三、四行目の「翌一五日」の次に「渋谷パレス座の木下支配人を介して」を加え、同裏二、三行目の「締結されたのである」を「締結されたものである」に改める。

原判決一七枚目裏一〇行目の「従業員」の次に「の雇用形態」を加え、同一八枚目裏二行目の「社員」を「正社員」に改め、同七行目の「斎藤」の次に「、牛尾」を加える。

原判決二〇枚目表九、一〇行目の「あるにかかわらず」を「あるにもかかわらず」に、同裏一一行目の「牛尾六二歳」を「牛尾五二歳」に、同二一枚目表一〇、一一行目の「上回つているか、正社員」を「上回つているかそれに近い年齢の者、あるいは正社員」に改める。

原判決二二枚目裏四行目の「といえず」を「とはいえず」に、同四、五行目の「いえないこと」を「いえないことは」に、同五行目の「嘱託者」を「嘱託」に、同六行目の「雇用の必要性、被雇用者の能力等」を「その者の勤務状況、業務上の必要性等」に改める。

原判決二四枚目表五行目の「適用」を「類推適用」に、同裏六、七行目の「定年問題」を「定年延長問題」に、同一〇行目の「自働化」を「自動化」に、同二五枚目表三行目の「原告らは同年」を「控訴人らが同年」に、同七行目の「原告主張のような休職」を「控訴人主張の休職」に改め、同裏一行目の「同第三〇号証」の次に「、同第三六号証の一ないし三、同第四〇号証」を加え、同五行目の「一ないし一二」を「一ないし一一」に改め、同六、七行目の「、同第三六号証の一ないし三」を削り、同一〇行目の「同第四一号証」を「同第四一、第四二号証」に、同二六枚目表二行目の「証人小林力」から同四行目の「撮影した」までを「撮影場所については争いがなく、その余の部分については原審証人小林力の証言により被控訴人主張のとおりの」に、同裏一一行目の「定年問題」を「定年延長問題」に、同三〇枚目裏二行目の「別表二」を「別表第二」に、同四行目の「昭和四〇年」を「昭和四〇年頃」に、同三一枚目表一一行目の「威力業務妨害」を「威力業務妨害罪」に、同三二枚目表一〇行目の「同三一号証」を「同第三一号証」に改め、同三三枚目裏一〇行目の「あるとはいえ」の次に「(前掲甲第一七号証、乙第七号証、原審証人小林力の証言及び原審における控訴人本人の供述によれば、組合及び分会は、昭和五七年八月一二日付けの申入書をもつて、被控訴人に対し、通算制勤務体制は組合員に著しい労働条件の変更をもたらすものであり、団体交渉において協議して決定すべき事項である旨及び右勤務体制に基づく勤務表を撤回することを要求する旨を申し入れたところ、これに対し、被控訴人は、同月三〇日付けの書面をもつて、右通算制勤務体制の決定は、被控訴人の就業規則を逸脱しない範囲内においてその規則に従つてなされたものであり、かつ、それを実施する必要性があるうえその実施態勢も整つており、被控訴人はこれについて組合及び分会と協議する考えはない旨を回答したこと、当時は、分会が前記のストライキを繰り返しており、被控訴人と組合及び分会とが激しく対立していたが、その後組合等から被控訴人に対しては、改めて具体的に日時、場所等を指定して右協議を求めることもなされず、結局、被控訴人において、右通算制勤務体制の実施に際しては、控訴人の了解を得ることも、組合及び分会と団体交渉の機会を持つこともなかつたこと、が認められる。この事は、本件に現れた事情の下では、それが直ちに違法であるとは言えないけれども、使用者である被控訴人としては、通算制勤務体制の実施につき控訴人の理解と協力を得るための努力が幾分足りなかつたものと言わざるを得ない。)」を加え、同三四枚目表一行目の「必要性が大きい」を「必要性が大きく、もとより労働基準法、被控訴人の就業規則上の労働時間等の制限に違反するものでもない」に改める。

原判決三七枚目裏五行目の「一一月二一日」を「一二月八日」に改める。

二  以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴及び控訴人の当審で拡張した請求は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 安達敬 鈴木敏之 滝澤孝臣)

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